最近、何人かの投資家と交流した際、AIが投資分野に与える影響についてよく話した。多くの投資家は、AIがデータ モデルに基づいて企業の成長の勢いを評価し、将来性を予測できるため、データ分析に依存する投資評価プロセスの一部を徐々に覆すか置き換えることになると信じている。
しかし、彼らはまたいつも冗談めかして私にこう言っていた。「マット、心配しないで。エンジェル投資がAIに取って代わられることは絶対にない。この意思決定プロセスには確立された公式がなく、モデルをトレーニングすることも不可能だからね!」
これを聞いて、私は、アインシュタインがかつて言ったことを思い出した。「直感は神からの贈り物であり、理性は忠実な奉仕者である。しかし、私たちが作り上げた社会は、奉仕者に栄光を与え、贈り物を忘れている。(The intuitive mind is a sacred gift and the rational mind is a faithful servant. We have created a society that honors the servant and has forgotten the gift.)」 この一文は、人間の直感とAIの論理分析との強い関係を反映しており、私たちが反省すべき価値をもっている。
AIの分析は、強力であるように見えるが、実際には「過去を遡ってすべての点を結びつける」だけである。実際、最も重要な意思決定の多くは、明確なデータなどなく、不確実性に満ちた状況で判断を下している。
そして、ジョブズが言ったように、「将来に目を向けるとき、すべての点を事前に結びつけることはできず」、未来に向かって進むには、「将来すべての点が最終的につながると信じる」ことが必要である。私たちが頼りにしているのは、決定者が長年の豊富な経験で磨かいてきた直感と、リスクを冒して失敗する勇気である。
多くの成功したスタートアップ企業が最良の証拠である。たとえば、心元が投資したHims & Hersは、2021年に遠隔医療プラットフォームとしてニューヨーク証券取引所に上場した。同社のストーリーを知らないと、Himsが2017年に設立されたばかりのとき、ヘアトニックのみが販売商品であったことを想像することは難しい。
過去5年間、アンドリューは市場の「シグナル」を捉えるのに長けていたため、女性市場への参入、栄養品および健康製品市場の開拓、大幅な規制緩和による巨大なチャンスを掴んでの遠隔医療企業への転換など、素晴らしい発展の機会を会社にもたらした。
これらのシグナルには、必ずしも従うべき軌道があるわけではない。「直感、決断力、信念」こそが、これらの機会を特定し、不確実性の中でチームを方向性を見つけるように導いている。このように数値化できない意思決定は、AIにはできることではない。
私は、将来どんなにテクノロジーが発達しても、人間が多くの経験を積んで蓄積してきた知恵や創造力、つながる力は必要不可欠で核となるものであり、AIには代替できない能力でもあると考えている。こうした資質があるからこそ、私たちは変化の中に新たなチャンスを見出し、未来を創造し続けることができる。過去の分析はAIに任せてもいいかもしれないが、将来については、自分たちで舵を取るであろう。